本人に財産があまりない場合には成年後見人等をつけるほうが、楽になることがある

車椅子に乗って笑顔で手紙をヘルパーに渡す高齢女性

介護のプロであるヘルパーに介護を頼むように、専門職後見人等に財産管理を依頼する

財産管理や身上監護を専門職に任せることにより事務的負担や精神的負担を軽く

親族後見人等や実質的に成年後見人等の業務をされている親族が、高齢であるなどの理由で身体が弱かったり、遠方に住んでいたりすると、医療や介護の契約に赴いたり支払いをするなどの業務の遂行や、成年後見人等に義務付けられている家庭裁判所に対する事務報告が難しいことがあります。

そのような場合は専門職が成年後見人等になれば、こういった業務や報告にかかわる負担感から解放されますし、分掌といって親族も複数後見人等として選任を受けて、身上監護を担うこともできます。

財産管理とは、本人の預貯金や不動産などの資産や、収支を管理することで財産上の利益を保護することで、身上監護とは、本人の生活・医療・介護において契約や手続きを行うことです。

助成や扶助の活用で成年後見制度の経済的負担を軽く

本人の判断能力が低下して普段の生活に不便が生じており、本当は成年後見人等をつけたほうがいいとは思うのだけれど、経済的なことが気になって・・・という方はいると思います。

それほど知られていないのですが、場合によっては成年後見人等の報酬の助成が地方自治体から受けられたり、申立の費用で法テラスの民事法律扶助制度を利用できることがあります。

申立ての過程で、生活保護が受けられるのがわかることも

申立てのとき

専門職が成年後見開始の申立ての依頼を受けた場合には、財産目録や収支予定表も作成しますし、同時に家計の改善について考えます。

選任されたあと

専門職としてスムーズに行うことができる業務は例えば、

1.生活保護の申請
2.受給できる年金の手続き
3.債務整理
4.銀行口座のまとめ など

成年後見人等は年に1度、家庭裁判所へ成年後見等の業務と財産に関する事務報告を行います。
親族後見人等にとっては、この報告に関する事務的負担が重いといわれていますが、専門職後見人等にとっては業務のうちのひとつなので、特に問題はありません。

財産のあまりない人に成年後見人等をつけることにメリットがあるのはなぜか

報酬の助成を考える程度の財産ならば、家庭裁判所が関与してもしなくても本人にとって支出するべき、または支出できる金額は決まっている状態と言えます。
なので、家庭裁判所の監督下にある専門職後見人等に財産管理を任せても、親族が財産管理をすることと全く同じ結果になります。

後見人等がついていない状態で親族が財産管理をするとき、グレーゾーンとも言える、「本人のためかも知れないが、家庭裁判所は認めにくい支出」があることがあります。

例としては
1.本人から孫に少々高額な祝い金を送る
2.本人と同居していて、階段に手すりをつけるついでに廊下の壁紙を張り替える工事費を本人の財産から支出する
こういった、もし判断能力が低下していなければ本人なら出していたであろう支出です。

本人の財産があまりない場合は、(支出できる金額に限りがあるので)グレーゾーンな支出は存在できないため、専門職後見人等でも親族でも、同じ結果になるという意味です。

財産管理のみならず、身上監護も専門職に委ねられたならば、事務的負担・精神的負担を軽くすることができるかと思います。

成年後見人等をつけたいと思ったら

判断能力が低下している人(本人)に成年後見人等をつける手順の一例としては、申立人が司法書士や弁護士などの専門職へ、家庭裁判所への成年後見等開始の審判を申立てることについて相談・依頼する方法があります。
申立人になれる人は、本人・配偶者、4親等内の親族、市区町村長などです。

申立てを受理した家庭裁判所は審判を行い、成年後見人等を選任します。

成年後見人等には、本人の親族や申立てを依頼された専門職や、申立時とは別の専門職などが選任されます。