配偶者短期居住権とは

壁いっぱいの腰高窓に、床までの長さの灰色がかった淡い緑色のカーテンが掛かったマンションの高層階の部屋

被相続人が所有する建物に、相続開始時において無償で居住していた配偶者が、引き続き一定期間無償で建物に住み続けることができる権利です。

配偶者居住権と配偶者短期居住権との違い

配偶者居住権配偶者短期居住権
権利の発生遺産分割・遺贈・死因贈与・家庭裁判所の審判による要件を満たせば自然に発生する
期間配偶者の終身またはあらかじめ定めた期限まで最低6か月間、または遺産分割協議の成立もしくは遺産分割の審判の決定まで(6か月超可能)
登記の有無登記することで第三者に対抗できる登記はできない
対象となる部分建物全体建物の居住部分のみ
財産価値期間の満了・建物滅失は価値なし・それ以外は価値あり価値なし(なので、課税関係に影響はない)
譲渡第三者には譲渡できない譲渡できない

配偶者短期居住権成立の要件

  • 居住建物が、被相続人の相続財産に含まれること
  • 相続開始時に、配偶者が居住建物を無償で使用し、居住していたこと

配偶者短期居住権が認められない場合

  • 相続人の欠格事由(民法第891条)に該当、または廃除によって相続権を失った場合
  • 配偶者が遺贈等により相続開始時に配偶者居住権を有していた場合

配偶者短期居住権の消滅事由

  • 存続期間の満了
  • 建物取得者による消滅請求
  • 配偶者が配偶者居住権を取得した
  • 配偶者の死亡
  • 建物の滅失その他による使用及び収益の不能
  • 配偶者による配偶者短期居住権の放棄

配偶者短期所有権ではこんな場合、いつまで住み続けられるか

配偶者が、自宅建物を取得できないとき

配偶者が、遺産分割協議や第三者への遺贈により自宅建物を取得できない場合でも、遺贈を受けた人より「配偶者短期居住権の消滅の申し入れ」を受けた日から6か月間は、無償で建物に住み続けられます。

配偶者が相続放棄したとき

建物の所有権を取得した人より「配偶者短期居住権の消滅の申し入れ」を受けた日から6か月間は、無償で建物に住み続けられます。

配偶者短期居住権で居住する場合の決まりごと

配偶者と所有者との法律関係

  • 建物の所有者に無断で賃貸するなど、これまでと違う用法で建物を使用してはいけない
  • 建物の修繕に関する費用は、配偶者が負担する
  • 建物の所有者に無断で増改築はできない
  • 建物に関する通常の必要経費、例えば固定資産税などは配偶者が負担する