支払督促とは
支払督促とは、債権者からの申立てに基づいて簡易裁判所の裁判所書記官が、債務者に対して金銭等の支払を命じる制度です。
支払督促は裁判所から送達されるため、債務者に心理的なプレッシャーを与えることができます。
また、簡易に債務名義を取得する手続きでもあります。
なお、債務名義とは、強制執行を行う際にその前提として必要となる公的機関が作成した文書のことです。
支払督促の申立て先
支払督促の手続きが行われるのは、債務者の住所を管轄する簡易裁判所です。
債権者より申立てがされると、不備等がなければ裁判所より支払督促が出ます。
債務者には支払督促正本が送達され、債権者には支払督促を出した旨および相手方に対する同正本の送達結果が知らされます。
支払督促が出た後、仮執行宣言から強制執行へ
債務者が支払督促正本を受領した日から2週間以内に異議申立てをしないとき、債権者はその2週目の翌日から30日以内に仮執行宣言の申立てをしなければなりません。
この場合、不備等がなければ支払督促に仮執行宣言が付されます。
債権者、債務者双方に仮執行宣言付支払督促正本が送達されます。債権者には、債務者に同正本が送達された年月日が知らされます。
債務者が仮執行宣言付支払督促正本を受領した日から2週間以内に異議を申立てない限り、仮執行宣言付支払督促は確定します。
これで、債務名義が取得できました。
債務者が支払義務を履行しない場合は、債権者は債務者に対し強制執行の手続きをとることができます。
債務者が異議を申立てた場合は、通常訴訟へ移行する
債務者は、仮執行宣言前と仮執行宣言後の2回、異議申立てをする機会があります。
異議申立てがあった場合は、通常訴訟に移行します。
債権者が、支払督促の申立て後に留意するポイント
仮執行宣言の申立て
債務者への支払督促正本の送達年月日は、仮執行宣言の申立ての期限を定めるために重要です。
債権者が仮執行宣言の申立てを、定められた期限までにしなければ、発付された支払督促はその効力を失います。
支払督促正本が債務者に送達できないときは
債務者へ支払督促正本が送達されないことも考えられますが、その理由に「不在である」、「転居先不明」などがあります。
前者の場合、休日送達や就業場所への送達などを検討し、送達のための郵便切手を添付して裁判所に書面で申出ます。
後者の場合、送達できない旨の通知を受けた日から2か月以内に新たな送達場所を裁判所へ申出がないときは、支払督促の申立てを取り下げものとみなされます。