離婚に伴う年金分割について

オレンジと青の年金手帳合計2冊と白い電卓

年金分割ができるのは、老齢厚生年金のみです。

厚生年金には、老齢基礎年金部分も含まれますが、この部分は年金分割はできません。
確定拠出年金、国民年金(第1号被保険者)や国民年金基金も、年金分割はできません。

年金分割は「年収の高い人」から「年収の低い人」(厚生年金の受給が高い人から低い人)へ分割されるので、「夫」から「妻」へとは限りません。

参考までに:年金分割後、元夫婦の夫側・妻側それぞれに再婚があっても、年金分割に変更はありません。
また、分割される側が死亡しても、分割を受けた側は存命な限り受け取ることができます。
分割を受けた側が死亡しても、分割される側の年金受取額は分割前には戻りません。

年金分割請求の期限と請求先

次の事由に該当した日の翌日から2年以内に、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに「標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)」を提出して請求手続きをします。

1.離婚をしたとき
2.婚姻の取消しをしたとき
3.事実婚関係にある方が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき

分割請求には期限の特例があります。
1.一定の事例に該当した場合、その日の翌日から起算して、6か月経過するまで限り、分割請求することができます。
2.また、分割のための合意または裁判手続きによる按分割合を決定した後、分割手続き前に当事者の一方が亡くなった場合は、死亡日から1か月以内に限り分割請求が認められます。(年金分割の割合を明らかにすることができる書類の提出が必要です。)

年金分割の2制度

国民年金第3号被保険者とは、厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者に扶養される原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の人です。

合意分割制度

当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。

・婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること
・当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を定めたこと

合意請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。
(すなわち、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。)

3号分割制度

国民年金第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間のおける相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割できる制度です。

・婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間があること

「3号分割制度」については、当事者間の合意は必要ありません。ただし、分割される方が障害厚生年金の受給者で、この分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、「3号分割」請求は認められません。