借主側ー賃貸住宅の大家が、敷金を返してくれない

インディゴ色のソファにオレンジ色のクロスを掛け、フローリングに座ってノートPCを操作する女性

敷金返還請求をしたい

住宅を賃貸するときに、「敷金・礼金・保証金」といった用語を見かけます。
借主から大家に支払うお金ではありますが、退去時、どのお金が借主のもとに戻ってくるのでしょうか。

敷金とは

敷金は、賃貸借契約における借主の債務を担保するために差し入れるお金です。
例えば、家賃の滞納があったり、退去時に原状回復が必要になったりすると、大家は敷金から差し引くことができます。反対に、家賃の滞納がなく、原状回復の必要がなければ返金されるものです。

礼金とは

礼金というのは敷金とは違い、入居時に大家に支払い退去時も返金がないお金です。

保証金とは

関西地方では、「敷金・礼金」に代えて「保証金」を使うことがあります。
敷金はだいたい家賃1~2か月分ですが、保証金は6~8か月分です。
金額に差がある理由は、保証金には「敷引き契約」という特約がついていることが多く、その分だけ高くなるためです。

「敷引き」とは、退去時に借主の債務がなくとも、一定金額を敷金から差し引くというものです。
特約に定められた「敷引き金額」より滞納家賃や原状回復費用が上回った場合は、その分も追加で差し引かれます。

「敷引き」のない保証金は「敷金」と同じであり、「敷引き」は「礼金」に当たります。

関西でも「保証金」ではなく「敷金・礼金」を採用する物件が増えてきたようです。
賃貸住宅契約時には、敷引き契約や礼金の有無についてはよく確認しましょう。

原状回復義務とは

退去時に原状回復費用を差し引かれると、敷金がほとんど戻ってこなかった、ということがあります。

原状回復義務とは、借主が物件を元の状態に戻して返還しなければならないということですが、「通常の経年劣化による損耗」分は含まないとされています。
つまり、借主が特に傷めた部分(故意・過失つまり、わざと・うっかり傷めた部分)だけ直して返せば、原状回復義務に足る、ということです。

もしも大家がこういった「法的に必要な範囲を超える」敷引きをした場合は、返還請求ができます。

敷金返還までの流れ

敷引き金額が妥当でないと思うときは、まず管理会社や大家に問い合わせをしましょう。
納得いく説明がなければ、内容証明郵便を送ったり、裁判所に申立てをすることになります。

もしも認定司法書士にご相談いただいた場合

請求額が140万円以下である場合、認定司法書士は代理権を有します。
140万円を超える場合は、法律的なアドバイスと書類作成を通じてサポートします。

内容証明郵便

電話などでの返還に応じない場合は、内容証明郵便を送る方法があります。

敷金返還請求に関する裁判所手続きの例

通常訴訟

請求額が140万円を超える場合、地方裁判所に訴状を提出します。
140万円以下であれば、簡易裁判所になります。

少額訴訟

請求額が60万円以下の場合選択できる手続きで、簡易裁判所が扱います。
原則的に1回の審理で紛争が解決されるので、通常訴訟に比べて時間がかからないため、心理的負担が軽くすみます。

民事調停

民事上の紛争を話し合いにより解決する手続きです。申立先は簡易裁判所です。