法定後見制度を利用するには

老婦人が引出しの中の通帳と印鑑を見ている

後見等開始の審判の申立て

申立てができる人

本人の判断能力の低下が見られた場合、本人、4親等内の親族または市区町村長などが申立人となって、家庭裁判所へ後見(保佐・補助)開始の審判(後見人等の選任)の申立てをすることができます。

手続きに要する書類と費用

提出書類は家庭裁判所が書式を用意しているものもあります。申立事情説明書・親族関係図などや、財産目録・収支予定表などを申立人側が作成します。戸籍謄本などは役所から、「(後見等に)登記されていないことの証明書」は法務局から交付してもらい添付します。
申立書類には医師の診断書(成年後見制度用)も含まれ、後見・保佐・補助のいずれの類型で申立てをするのかが定まります。

申立手数料は収入印紙で800円~2,400円、登記費用の収入印紙が2,600円(審判が確定すると、法務局へ審判の内容が登記されます)、医師の鑑定が必要なときは、鑑定費用として5万円~10万円がかかることがあります。

裁判所などに対する申立ての費用は、申立人の財産から(市区町村長による申立ての場合は、費用を本人の財産から支払うが、支出困難な場合はその限りではない)支払われます。申立人の財産が少なく、申立費用の支出が難しい場合は、法律扶助が受けられることもあります。

親族か専門職か、監督人は付くのか

申立人は、親族等(自らも含む)を後見人等候補者とした申立てができます。
このとき、本人の財産が多額な場合には、家庭裁判所より以下の選択肢からいずれかを選ぶよう迫られることがあります。

  • 後見制度支援信託を利用する
  • 専門職後見人として司法書士や弁護士などを選任する
  • 親族を後見人等に選び司法書士や弁護士などが後見人等監督人になる

監督人を付けるのは、財産の額や種類が多いと必要とされる法律知識が多くなることが予想され、相談が容易にできるようにとの配慮のようです。

親族後見人への流れ

平成31年(2019年)3月、最高裁判所は、基本的な考え方において、後見人等にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人等に選任することが望ましいと示しました。