老後の財産管理と資産承継を家族信託で

公園の木陰であかちゃんを抱き上げる外国人女性

年齢を重ねて、仕事も一段落して。

仮に、次のような思いがあったとします。

1.自分が元気なうちに、自分の財産管理を子どもにまかせたい
2.もしも自分の判断能力が低下しても、成年後見制度はなるべく利用したくない
3.自分の遺産相続について希望がある
4.自分の相続人の死亡以降の資産承継についても希望がある

いろいろな思いをまとめてひとつの家族信託に

通常は

1.は委任契約
2.は成年後見制度を回避しても、利用しなければならない場面が来ることもある
3.は遺言書の作成

として別々の手続きとなります。また、

4.は「後継ぎ遺贈」といい、遺言書に書いたとしても民法上、無効とされます。

家族信託で生前から亡くなった後まで効力を継続させる

家族信託は、契約信託、遺言信託、自己信託の3種類に分けられますが、契約信託に含まれる遺言代用信託によって1.から4.までをまとめてひとつの契約とすることができます。

家族信託の、受益者連続機能

受益者連続型信託とは

受益者連続型信託とは、受益者の死亡により、その受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定めのある信託のことです(信託法第91条)。

家族信託には自分の相続人の死亡以降の資産承継先を定める「受益者連続機能」が備わっています。
受益者連続信託にすることで、4.の希望も叶えることができます。

遺言信託で亡くなった後から効力を持たせる

家族信託契約は、その発動が委託者(自分)の死後からでもよいのです。
仮に1.2.の、生前の財産管理は必要としておらず、3.4.を遺言として残したいときも、家族信託で契約できます。

前述のように、遺言書の作成では4.の「後継ぎ遺贈」が実現できません。
委託者の死後に発動する遺言信託で受益者連続型とすれば、二次相続以降の受益者の指定もできます。

受益者連続にかかる期限

無制限に受益者連続を指定できるのではなく、信託開始から30年経過後に新たに受益者となった者(30年経過時点においての受益者が死亡し、それを直後に継いだ受益者のこと)が死亡するまで契約は存続できるようになっています(信託法第91条)。

信託締結時に、信託終了後の残余財産の帰属先を指定できるので、実質は30年経過後、2回の資産承継先(「直後に継いだ受益者」の次の受益者まで)を指定することができます。