老後の財産管理と資産承継を家族信託で

いろいろな思いをまとめてひとつの家族信託に
1.自分が元気なうちに、自分の財産管理を子どもにまかせたい
2.もしも自分の判断能力が低下しても、成年後見制度はなるべく利用したくない
3.自分の遺産相続について希望がある
4.自分の相続人の死亡以降の資産承継についても希望がある
通常は
1.は委任契約
2.は成年後見制度を回避しても、利用しなければならない場面が来ることもある
3.は遺言書の作成
として別々の手続きとなります。また、
4.は「後継ぎ遺贈」といい、遺言書に書いたとしても民法上、無効とされます。

家族信託で生前から亡くなった後まで効力を継続させる
家族信託は、契約信託(信託法第3条1号)、遺言信託(信託法第3条2号)、自己信託(信託法第3条3号)の3種類に分けられます。
1.から4.まで(生前から二次相続以降)を考えている場合
契約信託に含まれる遺言代用信託を活用
3.から4.まで(死亡から二次相続以降)を考えている場合
遺言信託を活用
遺言代用信託(信託法第3条1号)では生前から信託契約を活用できる
遺言代用信託は、契約信託の中の自益信託であり、かつ後継ぎ遺贈型受益者連続信託である
後継ぎ遺贈型受益者連続信託とは、「委託者の死亡を始期として、受益権を取得する次の受益者(死亡後受益者)についての定めのある信託」のことです。
また自益信託とは、自分が委託者であり受益者も自分とした信託契約です。

遺言信託(信託法第3条2号)で亡くなった後から効力を持たせる
前述のように、遺言書の作成では4.の「後継ぎ遺贈」が実現できません。
委託者の死後に発動する遺言信託で後継ぎ遺贈型受益者連続信託とすれば、二次相続以降の受益者の指定もできます。

受益者連続型信託とは
後継ぎ遺贈型受益者連続信託は、受益者連続信託の中のひとつの類型
受益者が次々に代わっていく信託を受益者連続型信託といいます。一例として「後継ぎ遺贈型」のように、受益者(=委託者)の死亡によって受益権を取得する次の受益者についての定めがある信託があります。
受益権の「引継ぎ」の時は、受益者の死亡の時と限らず何らかの条件や期限にすることも認められています。
受益者連続にかかる期限
無制限に受益者連続を指定できるのではなく、信託開始から30年経過後に新たに受益者となった者(30年経過時点においての受益者が死亡し、それを直後に継いだ受益者のこと)が死亡するまで契約は存続できるようになっています(信託法第91条)。
信託締結時に、信託終了後の残余財産の帰属先を指定できるので、実質は30年経過後、2回の資産承継先(「直後に継いだ受益者」の次の受益者まで)を指定することができます。
