認知症と財産管理
厚生労働省によると、日本における65歳以上の認知症の人の数は600万人(2020年現在)と推測され、2025年には700万人(高齢者の5人に1人)が認知症になると予測されています。
認知症と診断される程度に判断能力が低下すると、自分の財産であっても自分で動かすことができなくなります(定期預金の解約や、不動産の売却などの例がわかりやすいと思います)。
将来のことを考えるとしたら
この先の財産管理や資産継承について考えるとき、検討してみたい3種類の制度があります。
成年後見制度
判断能力が十分でない人について、本人の権利を守る援助者を選ぶことで本人を法律的に支援する制度です。
成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度に分けられます。法定後見は本人の判断能力の低下が認められた段階で、任意後見はまだ判断能力が低下していない段階で選択されます。
法定後見も任意後見も両方とも家庭裁判所が関与しますが、任意後見のほうは任意後見契約を公正証書で作成します。
遺言書の作成
自分の死後、自分が希望する財産の分け方を伝えるためには遺言書を残しておくという方法があります。
条件を満たせば認められる自筆証書遺言と、公証人が関与する公正証書遺言などがあります。
民事信託(家族信託)
民事信託とは信託法に規定され、成年後見制度や遺言書と併用できる又は代用する制度です。
民事信託には、契約信託・遺言信託・自己信託があります。