家族信託があれば遺言書や成年後見は不要?
家族信託と遺言書の関係
信託法第3条1号の遺言代用信託や、第3条2号の遺言信託(信託銀行等の商品としての遺言信託ではない)を家族信託として契約しておけば、遺言書を作成する必要はないと思います。
家族信託と成年後見の関係
家族信託の契約後に、委託者の判断能力が低下した場合、法的には受託者は身上監護権(介護施設等の契約を代理する権限)がないので、必要なら成年後見制度と併用すれば良い、とは言えます。
しかし、実際は親族ならば身上監護権を行使できるので、この場合においては併用しないことが多いでしょう。
実務上は、成年後見制度の利用による負担感(報告書作成の事務的負担、報酬支払いにかかる経済的負担、本人の判断能力が十分なときは本人にまかせていた財産管理を家庭裁判所に監督されながら代わりに行う精神的負担など)から、成年後見制度を利用するかわりに家族信託を検討する場合が多い印象があります。
ただ、家族信託を契約していたにもかかわらず、委託者に成年後見人等をつけなければならない場面があります。例えばそれは、判断能力が低下した委託者が相続人の立場になったときです。
家族信託は、お客様それぞれの事情ごとに判断しながら設計をします。将来予測されることに対しては、出来る限り不利や差し障りのないように注意深く契約内容を考えていくのです。
家族信託の長所は、柔軟性のあるところだと言えるでしょう。