株式会社設立と定款
定款とは、株式会社を設立するにあたり発起人全員が話し合って定めるもので、目的や組織の形態、活動内容など会社の基本原則です。定款は会社の憲法ともいわれます。
定款には電子定款と紙の定款があり、紙のものには収入印紙4万円を貼ります。
株式会社を設立するには発起人が定款を作成しその全員がこれに署名し又は記名押印しなければなりません。
定款に記載する内容
絶対的記載事項(会社法第27条)
絶対的記載事項とは、定款において会社法上必ず記載しなければならない事項をいいます。
1.目的
2.商号
3.本店の所在地
4.設立に際して出資される財産の価値又はその最低額
5.発起人の氏名又は名称及び住所
相対的記載事項(会社法第28条)
相対的記載事項とは、会社法の規定により定款に定めがなければその効力を生じない事項をいいます。
定款に書かれていなくても構わないが、書かなければ効力が生じないものです。
ア)変態設立事項(第28条により定款の定めが必要とされる事項)
株式会社にとっては設立時に十分な資金を確保することが重要ですが、株主にとっては出資金額に対して公平・平等に株式を受け取ることが重要です。
変態設立事項に定められる方法は、金銭トラブルが起きやすくなると考えられ、それに備えるために定款に正しく記載します。
現物出資
・金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価値並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数
財産引受
・株式会社の設立後に譲り受けることを約した財産及びその価値並びにその譲渡人の氏名又は名称
発起人の報酬・特別利益
・株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
設立費用
・株式会社の負担する設立に関する費用
イ)ア)以外
1.株式の譲渡制限(会社法第107条第2項第1号)
2.取締役会、監査役等を置くことができる旨(会社法第326条第2項)
3.存続期間又は解散の事由(会社法第471条第1号、第2号)
4.公告方法(会社法第939条第1号)
など
任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で会社法の規定に違反しないものをいいます。
定款に書かなくても構わないが、書けば会社の決まりとなり、これを変えるには定款変更の手続きが必要になります。
1.定時株主総会の招集時期
2.株主総会の議長
3.取締役や監査役の員数
4.事業年度
など
株式会社設立後の定款の備えは
定款は、株式会社の成立後は、会社の本店と支店に備えておかなければなりません。
営業時間内は、発起人、株主、会社の債権者の請求があれば閲覧できる状態にしておく必要があります。
定款は電磁的記録により作成できますが、その場合の閲覧は、紙面又は映像で表示されることとなっています。(会社法施行規則第222条~第226条)