相続財産の中に不動産があったとき―遺言書と遺産分割協議

外壁にはいっぱいにツタが絡み、縦長の両開き窓が並ぶ洋館

遺言書があって、その通りに相続登記するなら

公正証書遺言や、法的に定められた形式に沿いかつ検認が必要ならそれも済ませた自筆証書遺言があって、その上で遺言書の通りに相続が行われるならば遺産分割協議は必要ありません

遺言書に記載された相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本等を取得します。

遺言書の種類

遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、(他に秘密証書遺言)があります。公正証書遺言であれば、家庭裁判所による検認は不要です。自筆証書遺言は法務局の保管制度を利用している場合、家庭裁判所による検認は不要です。

遺言書で相続登記申請するとき

相続登記申請時には遺言書を添付して、登記申請人は遺言書に記載された不動産を取得した相続人です。

検認の申立て先は遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

遺言書があるが、その内容とは違う形で相続したい、または遺言書がないとき

まず、法定相続人の範囲および法定相続割合を確定させるため、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍・除籍謄本等を収集します。

相続人が一人だけ、または比較的スムーズに遺産分割協議が成立した

法定相続人が一人ならば、遺産分割協議は必要ありません

法定相続人が複数であれば、遺産分割協議を行いその成立を待って相続登記を申請します。

遺産分割協議の成立で相続登記申請するとき

相続登記申請時には遺産分割協議書を添付して、登記申請人は不動産を取得した相続人です。

遺産分割協議がなかなか成立しない場合

相続発生後は、遺産分割がなければ全ての相続人が法定相続分の割合で不動産を共有した状態(共同相続)となっています。

遺産分割協議が成立しなくても、この共有状態をそのまま登記に反映する方法、すなわち共同相続登記(法定相続分での相続登記)を申請することができます。

令和6年4月1日からは相続人申告登記が選べる

令和6年4月1日からは相続登記申請が義務化されますが、それに伴い相続人申告登記の制度を利用できるようになります。
遺産分割協議の成立がないとき、期限内の履行義務を果たすためには、共同相続登記か相続人申告登記を選ぶことになります。

共同相続登記申請するとき

相続登記申請時の登記申請人は、法定相続人のいずれか一人で足ります。